雑誌を見ていると面白い研究報告があったので紹介します。
2017年ランセット委員会は以下に述べる10の因子が、どの程度認知症の発症に関わるかを調べました。その結果が以下の図1です。
このうちAPOEε4というのはアポリポ蛋白Eε4キャリアーのことで、遺伝的に受け継がれるため回避できませんが、その他の9因子(低教育レベル、難聴、高血圧、肥満、喫煙、抑うつ、運動不足、社会的孤立、糖尿病)は回避可能で、これらを完全に健全な状態に出来れば認知症の35%は予防可能と言えるそうです。多くが循環器病と大きく関わる因子ですが血管性認知症(動脈硬化が原因となる認知症)だけでなく、アルツハイマー型認知症におけるアミロイドβ沈着にも関係しているようです。
各年代で生活習慣を改善するように心がけることにより、認知症を回避し、健康寿命を延ばすことが可能なのです。
(月間保団連氏409号、2024年1月刊行、関西医科大学、薬師寺祐介氏寄稿)
文献)
Livingstone G,et al.Dementia prevention,intrevention,and care. Lanset 390:2673-2734,2017
写真は京都の南禅寺境内の紅葉です。患者様S氏より頂戴いたしました。
素敵な写真をありがとうございます。