睡眠薬と認知症

「睡眠薬をのむと認知症になりませんか?」とよく質問をされます。この問題がクローズアップされたのは2014年、海外から「睡眠薬が認知症発症のリスクを約1.5倍高める」という報告がなされ、 それを週刊誌が大きく取り上げたことからでした。 

 現在日本で使われている睡眠薬のうち、古くからあるベンゾジアゼピン受容体作動薬というタイ プ(BZ系と略します)がこの疑念の対象になります。(またいわゆる抗不安薬もほとんどがBZ系で す)。この問題に対しては実は古くから関心が寄せられており、最初の研究発表は1998年になって います。過去の論文をふり返ってみると、リスクを高めるという結果と無関係であるという結果が交錯しています。関係があるというなかでは認知症リスクを最大3.5倍高めた、長時間効果のある睡眠薬の方が短い薬剤より危険である、3カ月以上服薬を続けた場合が危険である、などの記載がありました。 

 このように結果が様々なのは、おそらく薬そのものが一見認知症に見えてしまう思考力低下などの副作用を有すること、薬を抜いて1年経つと認知症状と思われたもの大半が消失することが知られているのですがこれについての配慮がなされていないことなど、研究の解析の仕方が一定 ではないからだと思われます。 

 しかし少なくとも現時点ではBZ系は認知症発症の危険因子である可能性があると考えるべきです。しかし一方不眠を放置すると認知症が起こり易くなるという事実もあります。したがって不眠の治療は行うべきではありますが、BZ系以外のものを優先し、他が無効でBZ系を使用する場合にはできるだけ少量、短期間に留めるべきと考えられます。 

ベンゾジアゼピン系睡眠薬一覧(日本) 

(作用時間別・商品名/一般名) 

 ◇超短時間型  ※入眠障害向け 

  • ハルシオン(トリアゾラム)   

短時間型  ※入眠+中途覚醒に 

  • レンドルミン(ブロチゾラム)  
  • リスミー(リルマザホン)   
  • ロラメット/エバミール(ロルメタゼパム)   

中間型  ※中途覚醒・早朝覚醒に 

  • ユーロジン(エスタゾラム)   
  • サイレース/ロヒプノール(フルニトラゼパム)   
  • ベンザリン/ネルボン(ニトラゼパム)    

 長時間型  ※早朝覚醒・熟眠感の不足に 

  • ドラール(クアゼパム)   
  • ダルメート(フルラゼパム)   
  • ソメリン(ハロキサゾラム)    
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